コラム

2026年09月24日

漢方薬剤師のよもやま話59 「虚・実の次は 表・裏 について」

前回は「八綱分類」の「虚実」の次は「表・裏」です
下の図の中、解剖・・人体の中を観察するとわかりやすいです。

身体の外側から内側へ、「表 → 半表半裏 → 裏」と移っていくイメージがつかみやすいと思います。

「表」は、皮膚・筋肉・骨格など、身体の比較的外側。

風邪のひき始めに、

「ゾクゾク寒い」「頭が痛い」「身体の節々が痛い」

などが現れるのは、漢方では病邪がまだ「表」にある状態と考えます。

ところが病邪がもう少し身体の内側へ入ってくると、「半表半裏」という状態があります。

表でもない。裏でもない。

文字通り、その中間です。

代表的なのが少陽病。

寒くなったり熱くなったり、夕方に熱っぽくなったり、
節々までは痛くないけど少しのど痛い、胸脇部が張ったりする。
口が苦く感じたり、食欲が落ちる
このような時には、柴胡を含む柴胡桂枝湯・小柴胡湯などを考えることがあります。

さらに病気が身体の内部へ入った状態を「裏」と考えます。

裏には、大きく分けても熱を持った裏と冷えた裏があります。

たとえば陽明病では、裏に熱がこもり、強い熱感、口渇、便秘などを呈することがあります。
太陰病や少陰病では、身体の働きが弱り、
冷えや下痢、腹痛、全身の衰弱などが問題になることがあります。

病気の「居場所」が違えば、漢方処方も違ってくるということです。

だから漢方では、
「頭痛だから、この漢方」「風邪だから、この漢方」とは単純には決めません。

寒いのか、熱いのか。
虚しているのか、実しているのか。

病気は今、表にいるのか?
半表半裏なのか?
それとも裏なのか?

いくつもの物差しを重ねながら、身体の中で起きていることを考えていきます。

病名を見るだけではなく、

「病気の現在地を見る。」

これもまた、

「漢方って、こんなに奥が深いんだ」と思うところなんですよ。(^_-)-☆