コラム

2026年09月16日

漢方薬剤師のよもやま話55 「虚・実から見る薬方・薬味」

前回の「虚」と「実」の続きです

まず大原則があります。

「虚すれば補い、実すれば瀉す」(ガンの場合、例外もあります・・)

不足しているものは「補う」。余分なもの、「取り除く」。
漢方・東洋医学はいわゆる、小学生でもわかる単純・明解な理論です。

数千年に渡って、人体実験を繰り返した末に、人間の身体に有効な生薬のみ
漢方生薬として、残っているんですね

「虚」に使う薬味――補法

「虚」といっても、何が不足しているかによって違います。

① 気虚――気を補う
人参・黄耆・白朮・甘草・大棗など
代表方剤:四君子湯、補中益気湯など

② 血虚――血を養う
当帰・芍薬・地黄など
代表方剤:四物湯、当帰芍薬散など

③ 陽虚――温める力を助ける
附子・乾姜・桂皮など
代表方剤:四逆湯、真武湯など

「実」に使う薬味――瀉法

今度は、身体に病邪や余分なものが存在する場合です。

① 表邪を発散する
麻黄・桂皮など
代表方剤:麻黄湯、葛根湯など

② 熱を冷ます
石膏・黄連・黄芩など
代表方剤:白虎湯、黄連解毒湯など

③ 滞ったものを下す
大黄・芒硝など
代表方剤:大承気湯、調胃承気湯など

④ 水の停滞をさばく
茯苓・沢瀉・猪苓など
代表方剤:五苓散など

そして、前回も書きましたが

慢性病では、

「虚」と「実」が同時に存在する!!

気は不足している。でも水は滞っている。
身体は弱っている。でも瘀血は残っている。

何を補い、何を瀉すのか?

そこを考えて薬味を組み合わせていきます

漢方処方は、単なる生薬の寄せ集めではありません。

一つひとつの薬味に役割があり、その組み合わせには理由があります。

そして、「組み合わせる」事によって、さらに別の効能・効果が出てきます

漢方薬が、身体の状態に合わせて組み立てられた一つの「小宇宙」であると言われる由縁です。

奥深いでしょう (^_-)-☆

薬味の特性を理解する事も大事。漢方処方からの展開も大事。

漢方薬を縦横無尽に使いこなすには、

楽しくはありますが、一朝一夕ではいかないんですよね(^_-)-☆