コラム

2024年03月27日

春の便秘のお話

■春は便秘になりやすい!?

便秘は天気や気温の影響も受けやすいです。
春先は気温の寒暖差が激しいですが、特に暖かかった日から急激に寒くなる日は「お腹が張る」、「急にお腹の調子が悪くなった」という患者さんが顕著に増えます。
また、春は花粉症やアレルギーがストレスになり、梅雨は雨がストレスになって便秘になる方もいます。
このように4~6月は、日本の習慣的にも気候的にも自律神経が乱れやすい時期であり、便秘にとっては要注意の時期です。

 

順位 全体【n=1000】
1位 鼻のムズムズ・くしゃみ 32.0%
2位 目のかゆみ 28.0%
3位 気温の変化 22.9%
4位 人事異動 12.0%
5位 通勤混雑 7.7%
6位 服装選び 6.5%
7位 駆け込み案件対応 6.1%
8位 子供の進学・進級 4.6%
9位 新入社員対応 4.5%
10位 人事面談 4.4%

 

 

■自律神経の働き

私たちの体は、寒くなると血管を収縮させたり、体を震わせたりして体温を上げ、暑くなると汗をかくことで体温を下げます。
こうした無意識の活動をコントロールし、生命活動を維持しているのが「自律神経」です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、バランスをとりながら働きますが、寒暖差や気圧の変動が激しい春は、自律神経のバランスの乱れによる心身の不調が起こりやすくなります。

 

【自律神経を整える7つの方法】

・起きたら日光を浴びる

・適度な運動をする

・湯船に浸かる

・質のいい睡眠をとる

・しっかり栄養をとる

・腸内環境を整える

・首を温める

腸の働きには、自律神経が大きくかかわっています。活動神経である「交感神経」が優位な時は、蠕動運動は停滞します。
一方、リラックス神経である「副交感神経」が優位な時は、蠕動運動は活発になります。
蠕動運動がしっかり起こっていると腸内の不要な物が次々と押し出され、腸内環境にも好影響をもたらします。

 

【自律神経に大事な「セロトニン」はトリプトファンからつくられる】

トリプトファンは通常の食事をしていれば不足することはまずありません。トリプトファンから5-HTPに変換される時にビタミンB6が必要です。
ビタミンB6は食品からも摂取できますが腸内細菌が合成するルートが主な供給源です。脳内を含めた体内のセロトニンの合成には腸内細菌が重要な働きをしていることになります。

腸内フローラと気分の関係
脳は、非常に複雑な神経ネットワークを構築し、私たちの生命活動を支えています。一方、腸には独自の神経系があり、脳と互いに影響を及ぼしあうことがわかっています。これを「脳腸相関」(のうちょうそうかん)と言います。

生命活動や心の動きを調節する際、さまざまな指令を伝えるのが神経伝達物質です。脳と腸の両方で分泌される神経伝達物質に「セロトニン」があります。「セロトニン」は、脳内では気分を安定させ、穏やかにする役割を担っているほか、睡眠にも関与しています。また、腸では、腸を動かす指令を出す際に使われています。生活習慣やストレスなどが影響して腸の働きが鈍り、便秘になった場合を考えてみましょう。

このとき、腸の神経系は、「セロトニン」を分泌し、腸が動くように刺激します。腸内では、腸が反応するまで「セロトニン」を分泌し続けるため、便秘がひどくなると、腸内のセロトニンが過剰になります。一方、脳では「セロトニン」が不足している状態になってしまうため、不安になったりイライラしたりしやすくなるようです。

腸内フローラのバランスを適切に保ち、便秘を予防することが、心身ともにすこやかに過ごすことにつながるのです。